飲酒(ビール)の効用

Jカーブ効果

 米国保健科学協議会(ACSH)が、各国の医療関係者が発表した研究報告をまとめて分析したところ、一日にビールに換算して、350ml缶で2、3本程度のお酒を飲む人が、最も心臓血管疾患のリスクが低いという結果が出ました。これには人種や性別、地域条件を越えた共通性が見られました。

そして、病気だけでなく事故や事件を含めたあらゆる原因による死亡率(全死亡率)と一日の飲酒量をグラフにするとJ型のカーブになります。このことから「Jカーブ効果」といわれます。
 日本に於いても、飲酒と総死亡率・ガン死亡率との関連が調査されていて(文献①)、同様なJカーブ効果が観察されています。

更に、米国に於いては「女性のビール摂取とII型糖尿病リスクの関係」(文献②)や「適正飲酒と認知症リスクの関係」(文献③)が調査され、女性に於いてビールとワインの適正飲酒にはⅡ型糖尿病リスクを抑制する効果が見られていて、リスク低減率が50%であったとの結果や適正飲酒に於いて認知症リスクが54%低いという結果が得られています。

ただし、これはその人の年齢や健康状態、アルコール耐性によっても変わり、お酒を飲めば必ず死亡率が下がるわけではないので、各人に合った飲酒を心がけるよう十分な注意が必要です。また、Jカーブ効果があるからといって、お酒を飲まない人にお酒を飲むことを推奨すべきものではないので注意しましょう。

イラスト
文献①
Impact of alcohol drinking on total cancer risk:data froma large-scale population-based cohort study in Japan.
Inoue M, Tsugane S; JPHC Study Group
Br J Cancer., 92(1)182-7, 2005, Jan17.
文献②
Alchool drinking patterns and risk of type-2 diabetes mellitus among younger
women. S. G. Wannamethee et al
Arch.Intern.Med., 163 1329-1336, 2003.
文献③
Prospective study of alcohol consumption and risk of dementia in older adults.
Mukamal KJ, Kuller LH, Fitzpatrick AL et al.
JAMA, 289:1405-1413, 2003.

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